いよいよ切迫する健康不安
2008年8月28日

1. 健康不安説の真相
金正日の健康不安説は最近に始まったことではない。かつて生身の金正日の身近に接した人物が語るその肉体については、ただの肥満体のデブではなく筋骨質のバイタリティーに溢れた頑健な身体である。120 mプールを5回以上も軽々往復してみせたりそれは驚異的な体力を見せていたとの証言もある。ところがある時期に至ってからかねて内在していたところの持病が発病し始めたのである。いまは行き詰まりつつある、米朝会議の行方も「将軍様」の「健康不安」と深く関わっているといえる。だからつまるところは金正日の健康の限界とブッシュ大統領の任期内での米朝妥協とのせめぎ合いなのだ。そこで東洋占術の各手法を駆使して世界が注目するその健康状態を検証してみよう。まず個人の生理状況の解明がことのほか明確になりやすい「四柱推命」から分析していこう。
金正日 1942年2月16日(4録年 8白月生) |
36才~46才 丙午 偏官 沐浴 |
'02 60才 壬午 食神 胎 |
以上のような〈命造式〉の中に将軍様の生理的機能の全てが表記されている訳である。専門的解説は省略するとして分析の結論をいえば次のようになる。
A. 若い時は頑健であったが、それは表面だけであり本質的には持病、固疾となる病因がその生理機能の中に内在している。
B. その生理的機能におけるトラブルを起こす内臓関係はまず肝臓機能、心臓循環器系 統、次に肝臓機能、などの疾患である。
C. これらの生理的トラブルは40才台半ばからその兆候が現れ始めるが50才台になるとそれらの病状は顕著なものになり60才台に入るとさらに重症となり一段と悪化する傾向にある。
D. その人生を閉じる時はいずれもこれらの持病のトラブルが原因となる。つまりこれらの内臓疾患がついに死病に至るのである。この臓器トラブルは特に'08年中は5、6、7月には心臓系が、また11、12、1月には肝臓系が悪化、循環系と泌尿器系がスパークする形の症状となる。いうまでもなく重症である。
E.'07年~'11年にかけて肉体健康面は最悪の状態が続き'11~'12年に大変動期を迎えることになる。去る6月には中国副主席が訪朝したが将軍様と面会している写真は発表されてはいない。だからいよいよ健康不安説は払拭されないのだ。北京筋から伝えられる〈認知症の兆候が出ている〉〈時にウツ病のようになり執務室にとじこもったまま何時間も出てこないことがありメンタル面での問題もあるそうだ〉などと伝えられている。韓国のノムヒョン大統領が訪朝した写真を見ても、7年前と将軍様の風貌の違いである。まず精気が全く失われあまりにも無表情な活気のない雰囲気だ。漢方医術では「望診」といい風貌から診断する医療技術がある。これは生身の肉体の肌の具合などを基に判断するのでこれを気色を診るというがこの写真だけで判断するのは不充分なのであるが敢えて写真からの診断を加えれば顔面を見る限りではシワの状況、顔の表情、眼の精彩などからわかることは明らかに糖尿病を患っており何事にも無気力な精神状態に陥っていることを示している。さらに身体を見ても肩は肉が薄くなっているのに腹ばかり出ている―明らかに糖尿病の疾患がかなり重症であることを物語っている。7年前の写真に見られるような快活さは全く失せている。まるで別人のような精彩のなさである。時おり思考停止の状態にもなっていることもある筈だ。これは風貌だけの問題ではなく将軍様の人間的能力にも及ぶものでもう今やかつての〝胆力と智略に満ちた〟将軍様ではないのだ。今や21世紀最後に残った独裁者である将軍様にもいよい凋落が足下に忍び寄ってきたのである。これは何も肉体的生理ばかりではなくその政治生命も'08~'09年にかけて相続した権力に〈大変動〉が発生することを物語っている。
2. "注目の人" 帰ってきた異母弟・金平日の背後事情
新たな宮廷抗争の火ダネ近づく〈平壌異変〉における大きな要因のひとつになり得るかも知れない金王朝の注目すべき要人の1人が平壌に帰って来た。これまで北欧各国の大使館勤めを回されてきた将軍様の異母弟である金平日がポーランド大使館赴任から帰国したのである。この人物の帰国は注目の1点でありその動機をめぐって次のようにさまざまな観測がなされている。
- 金王朝権力中枢部における将軍様の血縁者の中で頼りになる者といえば長男の金正男と義弟の張成沢であり日増しに体力の衰えつつある状態の中で頼るべき肉親で周囲を固めたくなったのだ。
金正日は自分よりも親父の金日戊にソックリ男振りも格段に優れておりまた人間的にも人望のある金平日を疎んじて「オマエは目障りだ」とばかり北欧に飛ばしているのを呼び寄せたのである。- せっかく開発した核兵器を放棄してまで外交攻勢をかける金正日の方針に軍部は猛反発、全く軍歴のない将軍様に較べて金平日は軍歴があるので軍部は金平日に寄せる期待も大きく、その軍部の強い要望に抗しきれずに金平日の帰国に同意せざるに得なかったものともみられる。これまで「先軍政治」と謳われてきたが実際の権力構造は絶妙に朝鮮労働党が朝鮮人民軍を統括するものであり双方のバランスを保っていくところに将軍様の統治能力の発揮と権力体制維持の根源があった。ところが頼りとする軍要人はいずれも老人ホーム組となってしまったことに将軍様の先軍政治の限界が見えたといえる。それが近年は海外で自由の空気を吸ってきた〝海亀族〟といわれる留学体験者エリート層が各分野に放たれて実力をつけてきてこれからは改革開放を目指すために軍部との対立が目立ってくるようになった。核兵器の保持への絶対の信仰を持つ人民軍幹部たちにとって核兵器の放棄は許せない利敵行為としか理解しない。将軍様の存在が希薄となると共に権力機構の内部抗争が静かに始まってくる兆しが見えてきた。
3. 待たれる万景峰号の到着
「革命の軍隊こそが主体思想の革新的な力であり主力でもある。軍隊は人民でありまた国家であり、そして党である」これは金正日が朝鮮人民軍について述べたことばである。金正日は1995年~2005年までの10年間に約22万3千キロを走破し950カ所もの軍事施設を視察したと云われる。金正日が軍を視察すれば軍人の士気は大いに鼓舞され軍幹部たちの忠誠心は高まっていく―将軍様のカリスマ性への異常なほどの信奉はあたかも新興宗教団体の教祖へ対するような熱気を帯びている。
またこうした場合は、将軍様は自らへの信奉心への見返りを忘れることはない。功績を挙げたものへの表彰は徹底している。これは何も軍部ばかりではない。各行政要路の幹部へも同様で高級な品物では外国製高級車あるいはドルなどの外貨、高級時計。衣類や食料品あるいは特別賞与などおよそ国内では手に入らないものなどの特別プレゼントもある。こうした恩恵にあずかるのは約200万人ぐらいの恵まれた特権階層に属する人々だけであり、このうち約2万人の人々には親しく握手してこれらのプレゼントを〝手渡し〟している。これらの人々の感激はひとしおであり将軍様への永遠の忠誠を誓うのである。平壌市内に住める人々はこうした恵まれた人々にほかならない。プレゼントが忠誠心の結集力となっていたのだが経済制裁を受けるようになってからはこれらの物品を入手するのが難しくなりこれが金正日を悩ませる深刻な要因になっている。所詮は忠誠心もカネ次第というところがあの驚異的なマスゲームを演じてみせる人民にも人間らしい本質が流れているというのである。
さて8月11日のテロ指定解除は先延ばしとなったがいずれアメリカのテロ指定解除にともない日本も経済制裁の一部を解除することになり貨物船「万景峰号92」は入港の手続にも入っている。とりわけ今年の同船の往復が待たれるのは9月9日の建国60周年を祝って将軍様への贈り物はじめ祝賀に出席する人々を北へ送らなければならないからだ。これまでの例だと年間約2億円もの現金を積み込んで北へ出港して行ったものだが「今年は60周年というのに在日の人々の金が集まりにくい例年の半分以下になるかも知れない」(朝鮮総連関係者の話)というから将軍様への献上品も渋い状況となりそうだ。それはすなわち将軍様の御威光も陰りが見え始めたことにほかならない。
