ミサイル・核実験...暴走続ける"持ち時間"なき将軍様<最期の挑戦>
台頭してきた後継者の命運金王朝3代目終幕役<金正運人間研究>
2009年6月 8日
1.『東スポ』の見出しは不適切
'09年4月18日付の『東京スポーツ』に水戸弘天の北朝鮮に関する未来予知が紹介された。
しかし同記事におけるタイトルは少々不適切だ。「'10年に北朝鮮は崩壊かも?」とあるが、これでは'10年には崩壊か、と早合点してしまう。そんなことは話していない。「'10年は崩壊への序曲」というのが正確であり、'10年からいよいよ"平壌燃ゆ"北朝鮮の激動混乱が始まるからだ。
2.衰弱する一方の将軍様の容態
4月初めになってやっと将軍様のお姿が動画によって出現したのだが、そのあまりのやつれぶりに世界中が驚いた。
かつてはメタボのモデルそのものであったのに、腹はへこみ、肩の肉もホオの肉もゲッソリとコケ落ちて誰の眼にも10歳ぐらいは老け込んだように見える。この風貌を見た人民たちは「ご苦労されて痛々しくやつれた将軍様に涙した」下々の同情を集めたというから独裁者というのはありがたいものだ。
ともあれ、このミサイル、核実験と矢継ぎ早に世界中を敵に回してその危険な恫喝外交戦略の行方にアジアの否、いまや世界の命運がかかっているといえる。
その行末を決する要因はいくつかあるが、そのうちで最も大きなものはやはり将軍様の健康不安にあるだろう。最近のCIAの情報でも容態は悪化しつつあると伝えている。
現在のその体調はどうなのか――。昨年8月に循環器系疾患によるトラブルで倒れた後、10月になって再び倒れたというが、その健康危機については既に'04年発行の拙著に<'08年朝鮮半島の衝撃~金正日破局の日~>の中で「'08年の危機」を指摘しているとおりとなったのだ。それが何故、予知できたかといえば、<陰陽五行道>(形象命理学)に依る理論的根拠を基に彼の肉体生理機能の分析による成果にほかならない。ともあれ今や<死線を越えた>将軍様の健康状態はどうなるのか――。
最近の平壌報道によれば、歩行も自由で地方巡察も繰り返しているという。さらにはタバコも喫っているようだから、その元気ぶりの吹聴が激ヤセの姿と共にかえって自然ではないものを感じるのだ。
さて、そんな将軍様の最近の体調の真相はと易占にて透視することにした。すると得た卦は<澤天夬>2爻となった。それは<水勢が強大でそれが既に水域を超えて決潰する状況にある>というのである。ここにいう<水>とはつまり<病>にほかならず、将軍様の病状は既に行き着くところまで行ってしまった、つまり<万事手遅れである>という意味であり、その結果として<澤火革>→<全てが革(あらた)まる>2年目にその人生が激変するというのだから穏やかであろうはずはない。倒れた'08年から数えると'09年になるし、今年から数えると'10年となる。
以前からたとえ'08年を過ぎたとしてもまだ'10年いっぱいまでは危険水域の領域内に停まる、ということなのだ。したがって病状は今しばしの小康状態で保っているにすぎない。真の快復ではなく<三途の川の渡し場への歩調は少々ここにきて緩やかになってきた>にすぎないということなのだ。この下半期にまた"最期の発作"が起きる可能性も大きい。
3.死期を悟った将軍様 <最期の挑戦>
テポドン発射に続く核実験―― これを北ウォッチャーの中には「軍部の暴走である」と説いているムキがあるが、将軍様健在である以上、軍部の勝手な暴走などはあり得ない。全ては将軍様の命令以外の軍事行動はあり得ないのである。将軍様の意図するところは唯一つ<アメリカとの直接交渉による平和条約締結→現独裁体制の護持>これによって金王朝の将来の安泰を確立した上でそれを後継者に受け渡す―― これが将軍様人生最期の締めくくりのひと仕事と焦燥感にかられて思いつめているのだ。それというのも将軍様は昨年の8月中旬以来の闘病生活で死の深淵をのぞき死線を越えた―― そこで自らの死期も悟ったのである。
そんな彼にとっての緊急時は後継者の指名確定であるが、3王子はいずれも国内での認知はされていない。そのために世襲後継作業は速やかになされなくてはならない。現将軍様が後継者として登場するまでも20年はかかった事を、ここ数年のうちに達成しようというものだからそこには当然無理もあり、歪みも生じてくるのは仕方ない。それが平壌政局'10年代の激動と混乱を招く原因にもつながってくるのだ。
ここで後継者が登場するまでの過渡期に環境整備作業の大役を果たすキーマンが張成澤である。
ところが最近、注目されたのは第3王子、正雲の台頭である。今年の初め頃から<正雲>の名前がしきりに浮かんでくるようになり、春先には13人の国防委員に張成澤が加わる一方で正雲も「指導員」に加わったとされている。それは「国防委員の"見習い"で近い将来の正式な国防委員への参画を意図したものだ。
4.浮上した後継者第3王子「正雲」の命運
将軍様が最も溺愛しているのが「正雲」といわれるが、陰陽命理学による人間分析をみるとなぜ親父の将軍様がこの正雲を頼りにしているかがわかるというものだ。
金 正雲 1983年1月8日生まれ(9紫年、3碧月)
壬 戌( 戊 ) 偏 官 食 神 墓
癸 丑( 己 ) 正 官 傷 官 養
丙 申(戊壬庚) 偏 官 偏 財 病
18才~28才 乙 卯 印 綬 沐 浴
28才~38才 丙 辰 比 肩 冠 帯
● 金正雲の人間性及び個性
見かけは純朴に振る舞い態度にも飾り気のない無頓着を装っているが、内心は神経質で敏感な性格の持ち主。行動機敏な努力家である。
いつもスキのない身構えで世間や人に先んずるべく虎視眈々の姿勢を崩さない、一口にいえば油断のならない人物。要領もよく、頭の回転も早い技巧派である。しかも目的のために人を利用するのが巧みで、そのために人間の心情的な犠牲は顧みない非情冷酷さも備えている。このあたりは<独裁者になるには必須の人間的資質>といえよう。
また社会や流行の動きに敏感で適応性も高い反面、節操を誤る危険性は高い。政治分野への関心は強いこうした点も<正男、正哲よりも権力者には向いている>といえる。
芸術的なセンスもあり、才腕的には見るべき面は多いが短気で移り気な性格。いつも一石二鳥を狙いすぎて計画が空転する危険性もある。
人怖じしない度胸と自信はどの分野においても成功する可能性は高いが、常に慎重な参謀との協力が必要である。カンと努力と勇気で少壮のうちに一派を成すが、清濁併せ呑む度量が成功のカギとなる。
しかも権力を持つと一気に独走する傾向があるので、バランスの崩れた人間関係に陥り組織は不安定なものになりやすい。いつも積極策はいいが、その後始末の出来る後見役が必要である。
● 金正雲の宿命的傾向
まず宿命的特徴としていえることは<波乱浮沈型>の気の毒な人生軌道である。自発か他発は別にして、何事につけても<破れる>という事象に縁の深い<特殊星>という星の下に生まれており、自ら進んで事を起こせば必ず最後には<敗れる>というのだ。 しかもその特徴をいえば<組織>とか<家系>といった"連続性"を持つものを自ら<破壊>する宿命傾向をもつ、しかもそれは金ファミリーをも<破壊>する関係にもなっているので、たとえ正式後継者となってもその使命を全う出来ないことになる。だからポスト金正日の後継者になったとしてもその後の平穏な人生は望めないのだ。
それと共にもう1つ気になることは彼が体験した'07年'08年の凶災についてだ。この点については(1)ハーレーダビッドソンに乗って深夜に衝突事故に遭い重態に陥った。㈪深刻な内臓疾患に陥っており健康不安を抱えている―― との2説がある。
そのためかどうか、近年における正雲の写真は全く存在せず、韓国でさえも入手してはいない。
だからそんなに知られていない存在が後継者になれるはずもないという見方が一部に出ているのも当然だろう。最近における<正雲>の後継者浮上は本来は長男の正男が後継者候補No.1であったはずだが、彼は世界を飛び回り武器輸出や資金運用など金王朝の宮廷資金の裏金運用調達に専念している間に資本主義社会でのビジネスの面白さと巨額の資金を手にして歓楽も覚え、もともと権勢欲がなく政治には興味のない能天気の人物だけに、殺伐な暗殺、粛清の横行する平壌政局に関与するつもりは全くない。
だから現在はマカオにいて平壌には帰らず、帰国命令が来た場合は北京に亡命するかアメリカに亡命する心算であろうと予測されている。既に平壌では彼の取り巻きが拘束されたりして粛清が始まっていると伝えられているが、正男同様に北京から信頼されている張成澤はノンポリ正男を<祖国改革>のための"救国理念"での奮起を説得するが「いやだ、平壌には居たくない。ボクは後継者など自信がない」と平壌政局での活動を拒否。
そのために将軍様がいつ逝ってもおかしくない状況に焦った時期政権擁立の演出家・張成澤はいよいよ決断を迫られ、まだ若すぎるが後継者擁立の環境整備に時間がないままに<守旧派>の軍幹部たちと妥協、とりあえず若すぎるが正雲を起て、将軍様の<不測の事態>による"政治空白"に対応しようという緊急苦肉の策が<金正雲の登場>の裏事情である。
だから平壌ではにわかに取って付けたように正雲の"実績づくり"が鳴り物入りで進められているのも正式デビューの際にどうしても必要な"実績"なのだ。だからミサイル核実験もやがて正雲の"実績"とされることだろう。
これまで正雲の背後にいる支持勢力としては玄哲海、李明秀などの大将クラスの軍幹部で、いずれも海外生活体験のない自国の異常さがわからず牢固とした既得権益を徹底護持する<守旧派>であり、北京流改革・開放路線に反発していた立場の者ばかりである。
昨年8月から始まった張成澤らの<病室統治>の際にこれを好機と捉えて行政改革の大義名分の下に将軍様の威を借りた<守旧派>の一掃、追放を張成澤は猛然と断行している。この一速の"粛清攻撃"に対して<旧守派>勢力はこれを決して忘れてはいない。張成澤へのリベンジはやがて実行されるに違いない。
今回の正雲擁立を実現するにあたって張成澤はこれら<守旧派>を慰撫し妥協した形となったが、これが将来どんな形となっていかなる新状況を生むか―― '10年代の北情勢を予測する上でのキーポイントとなろう。
これは将軍様の容態悪化と同時に平壌政争が噴火する火ダネとなるのは確実なのだ。
'12年の金日成生誕百周年を待たずして将軍様が急逝した場合、張成澤が総書記代行者となり正雲を総書記候補者として擁立し、これを議長とする集団合議体制を敷いて'12年までをつなぐというのが平壌政権の当面の平常時対策であり、将軍様の"体調"はそこまで切迫しているのだ。
そこで正雲の個人的命運を分析することによって今後の平壌政局の動向を予測することが可能となるのだ。
正雲の近未来の運命的傾向は'08~'12年にかけての周期は社会から注目を集め、また名誉を受ける星の下に作用されている。
その中でも'11年、'12年の両年はその傾向が強まるので何らかの権力的地位を得ることになろう。
しかしそれは決して平穏、安泰な環境の中に身を置くものではない。というのは'13年、'14年は思いがけぬ暗転、不慮の災厄など苦境に陥るからだ。
こうしてみると、'10~'15年頃までの運命周期は破乱興亡浮沈の激しい環境の中に身を置くことになろう。
それは北朝鮮の国運をそのまま後継者の命運が反映されているものとみてとれる。
国内に周知徹底する準備期間もないままに正雲王子は骨肉の争いを内在させたまま各々の王子の背後についた支持勢力間の権力闘争は激化し、その狭間で翻弄されていく気の毒な宿命の持ち主となるのだ。
'12年の金日成生誕生百周年の大イベントの中心テーマとして正雲は正式に総書記の地位に就くことになる。
またそれまでは(1)ミサイル、核実験を繰り返し核保有国の仲間入りをして (2)アメリカにそれを認めさせて米朝会談の末に平和条約を締結する→これによって金王朝の独裁国家体制の護持を認定させる。そして金王朝の将来への存続、安定路線を確立させる―― など次期後継者成立のための必須条件が全て完備されている状況でなくてはならない。
それにはどうしても総書記の目が黒くなくてはならない。
もし'12年の正式後継者就任までに総書記のXデーが発生した場合には偉大な存在の求心力が失われたために権力機構各部の利害調整は機能せず、権力闘争が表面化し熾烈なものとエスカレートしていき、果ては内乱状態にまで至るようになる。加えて国外からは国連による制裁行動は着々と進行、陸路、空路、海路の物流は封鎖によって途絶し、孤立した北は国内に内乱勃発、ついに大量の難民を発生させるに至り、約数百万人の難民が中国東北部に流入するようになり、難民の中には武装した脱走兵も混入しこの動きを中国人民解放軍は好機ととらえ"国土防衛"のために北朝鮮に侵入するに違いない。これはチベットの場合と異なり、難民侵入の阻止と治安維持のためにさらには核の管理という大義名分があるから国際社会の非難を浴びることはない。
だから北朝鮮の利権を全て諸国に先駆けて取得しようとしている中国としては北朝鮮のある程度の混乱は歓迎すべきことだろう。
制裁封鎖による実施は海路、空路は国連軍に任せるとしても陸路は中国が独占することになろう。また国際金融面も全て封鎖されて経済も破綻するから北朝鮮は自壊するハメになる。国内では権力闘争と内乱、対外的には制裁封鎖―― 北朝鮮はもはや国としての運営は崩壊し、最悪の事態となる。
むろんこれは最悪の予想であるが、将軍様の目の黒いうちに円満な禅譲が行われればよいが、それが目算どおりに実現しなかった場合はこの最悪のコースも起こり得るのだ。
いま正雲の命運をみていくと、'10年以降の命運が決してハッピーではなく周囲の混乱激動の環境の中で起伏盛衰の波に翻弄される人生軌道は、明らかに'10年代における北朝鮮の国運波乱を反映しているといえる―― その現象は'10年を迎えると実証されていくことになろう。
結論としていえる事は<正雲は金王朝終焉の終幕を引く因縁を持つ継承者となる人物>ということである。

